FU-CHING-GIDO

TUBA DRUMS GYPSY ROCK

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「3」- New Reviews and Radio Play !

イエイ!今週のロンドンのFar Side Radioに邪魔する!ポールさんどうもありがとうございます!聞いてください!We disturbed the airwaves of London’s fantastic Far Side Radio this week! Thank you Paul! Check it out below!

あと、11月のリズム&ドラム・マガジン(Rhythm & Drums Magazine) にニューアルバムFU-CHING-GIDO「3」が乗ってます!Also, 「3」gets reviewed in the November edition of Rhythm & Drums magazine. Here’s what they had to say:

“民族音楽のテイストを感じさせる鍵盤ハーモニカの半音階的アプローチや、エフェクトをかけたチューバの音色が独特な世界観を生み出している。ふーちんのドラミングは、アコースティックな楽曲では豊かなダイナミクスが、ソリッドなナンバーでは芯の太いどっしりとしたビートが印象的。”

“The chromatic approach of the keyed harmonica giving a taste of folk music, and tone of the tuba combined with effects creates a unique world view. Fu-ching’s drumming is impressive, with abundant dynamics in the more acoustic numbers, and a thick solid beat in the heavy songs”




音楽を通じて出会った場所と人々への思いから生まれた新しい曲たち。 ふーちんとギデオンが語る、この約2年半とニューアルバム『3』。 (PART.1)

ふーちんギドの新作が完成した。『Earthlings 地球人』から約2年半ぶり。3枚目のアルバムだから、タイトルはシンプルに『3』とつけられた。



この2年半の間にも、ふたりはあちこちでライブを重ねた。特に2018年は海外でのライブも多く、その経験が自分たちを成長させたという実感を持っているようだ。



ギデオン「去年は本当にいろんなところに行ったね。6月からヨーロッパツアーがあって、ドイツとデンマークとフェロー諸島とマケドニアでライブをやって。で、帰ってきてフジロックに出て、11月にはオーストラリアに行って」



ドイツとマケドニアではライブハウスに出演。フェロー諸島(*北欧の沖、ノルウェー海と北大西洋の間、アイスランドとノルウェーの中間付近に浮かぶ島)では「Summartónar 2018」、オーストラリアでは「Bendigo Blues & Roots Festival」というフェスに出演した。



ふーちん「国によって文化が違うし、客層もさまざまだけど、どの国のひとたちも純粋に楽しんでくれてるのがわかったし、演奏が終わるといろんなことを訊いてくる。ドイツは若いひとが多かったんですけど、普段どんな生活をしてるのかとか、どうやったらドラムと別の楽器を同時に鳴らせるのかとか、どういう音楽教育を受けてきたのかとか、音楽だけで食べていけるのかとか(笑)、根掘り葉掘り訊かれましたね」



ギデオン「マケドニアはインディペンデントで活動している若いミュージシャンたちが自分たちで文化を作っている感じがすごくした。日本と違って音楽を文化と捉える考え方がしっかりしてたし、ライブハウスの音響もよかったね」



ふーちんギドは現在マネージャーがおらず、海外公演に関するスケジュール管理と確認はギデオンが行ない、場所によってはPAまわりもギデオンが自ら調整。当然、楽器運びも自分たちでやっている。



ふーちん「海外には最低限の楽器を持って行くんですけど、それでもチューバと、ドラムまわりはスネアとペダル、あとは鍵盤ハーモニカとそのPA機材といったふうにけっこうな荷物で。エフェクターとパソコンとフットペダルが重くて、いつもえらいことになってました(笑)。飛行機が飛ばないといったハプニングもあったけど、でもハプニングはあって当たり前だし。鍛えられますね」



フェロー諸島では、中心部から船で40分ほど離れた「20人くらいしかひとが住んでなくて、お店はひとつしかない」小島にも渡って演奏した。



ふーちん「お客さんも一緒に船に乗ってその島に行ったんです。簡易的なドラムのセットをお客さんが一緒に運んでくれて。で、風がものすごく強くて、シンバルが飛ばされそうになるなかでセッティングして」



ギデオン「パフィンという珍しい鳥がいるんですけど、それを見に行ったひとが強風に飛ばされて死んじゃったという話があるぐらいで。そこで演奏が終わって、みんなで観光船に乗って帰るはずだったのが、ミスブッキングで人数オーバーになって“乗れません”ってことになり、僕たちだけ島に取り残された。ドラムだけ観光船に乗って先に行っちゃって……」



ふーちん「そう。それで結局、小型の船に乗って帰れることになったんだけど、観光船じゃないから吹き曝しだし、ものすごく揺れるし、バーにつかまってないと海に投げだされるっていうんで必死でしがみついて。あれは本当に怖かった。怖かったけど、でも生まれて初めて見るような大自然で、景色がすごくキレイだったんですよ。その気持ちを曲にしたのが“Mykunes”なんです」



そんなふうに、音楽を通して出会った場所、見ることのできた景色、触れ合うことのできた人々、そのとき感じたことが、アルバム『3』の曲になっている。音楽での出会いがまた新しい音楽になるという理想的な循環だ。



ギデオン「いろんな場所に行って、いろんな友達ができました。みんな、すごく面白いひと。すごくいいひと。最近ニュースを見ると、ほかの国との問題ばかり取り上げられているけど、実際に行って接してみるとみんな優しい。それで前のアルバムは“僕たち、みんな同じ地球人”というテーマで作ったけど、今回はその気持ちがもっと強く出ています。なぜなら、ふたりであちこち行って、“やっぱりそうだよね”って改めて思ったから」



ふーちん「いま、差別の問題、偏見の問題がすごいじゃないですか。それは日本に限らず世界中であるけど、そういうのを持つひとって自分の住んでいるところから動いてないだけで、外に行けば違うってわかると思うんです。私がよかったなと思うのは、音楽、楽器という道具があって、ふーちんギドがあることで、いろんな場所に行って、いろんなひとと触れ合える。それによって真実がわかるというか。で、それをまた音楽にしてみんなに届ける。その作業をいままでやってきたし、これからもやっていきたいし。それはアルバムのテーマというよりも、ふーちんギドのテーマなのかもしれないですね」



制作にあたっての前作からの変化と言えば、まずギデオンが曲ごとのキーワードを予めノートに書いていたこと。よって曲のイメージを(エンジニア含めて)共有しやすかったそうだ。



ふーちん「あのノートがあって本当によかった。私がそのイメージで演奏できるっていうだけじゃなく、エンジニアの松下さんにも伝わるので、“じゃあこのシンバルを使うといいんじゃないですか?”“このスネアが合うんじゃないですか?”って持ってきてくれて、それがすごく助かった。前作はとにかく時間内に録ろうってことで、1曲1曲の音響のイメージまでは考えずに録り始めちゃったんですけど、今回はそのノートがあったから、やれることも増えましたね」



レコーディングは池袋にある「STUDIO Dede」で行なった。エンジニアは松下真也。オーナーは元ドラマーでもある吉川昭仁。それだけに曲に対する理解度が深く、ふたりから的確なアドバイスがあったようだ。



ギデオン「今回はヘヴィなロックが多いんだけど、マイクと楽器との距離、空間の距離感みたいなことをすごく考えてくれたよね」



そう、今回、特に音の奥行きを感じられるのはそういうことだろう。そしてギデオンが言うように、確かに今作、ヘヴィなロック曲が前より増えている。



ふーちん「“ロックっぽいものを作ろう”と意識してそうなったわけじゃなくて。ドイツやオーストラリアで元気なひとに出会ったとか、マケドニアの音楽文化に刺激を受けたとか、そういうことがエネルギーになっているから、自然とそれが音に反映されたんじゃないかな。あとは、やっぱりそういう曲をやると、どの国のお客さんも喜んでくれるっていうのがあって」



ギデオン「ライブを観てるひとが驚いているのを見るのが好きだし、楽しい。みんな、ふたりだけでこんなヘヴィなロックもやるってことにビックリしてるみたいで。僕はいろんなバンドのライブを観るけど、だいたい2曲観ると、“ああ、このバンドはこんな感じなんだな”ってわかる。でも僕たちのライブは、そうじゃない。“こんな曲の次に、こんな曲がきたぞ”ってビックリするものになっているはずだし、そういう予測のつかなさをアルバムにも反映させたかった」



ライブのダイナミズムを録音ブツにも反映させるのは、ふーちんギドにとって大前提と言えること。もちろん今作もそう。だから楽曲は基本的にまずライブで何度か演奏しながら形にし、その上でレコーディングに臨んでいる。



ふーちん「ライブでやりたいから曲を作っている。だからライブでやれないことはレコーディングでもやらない。ライブでできる範囲で遊んでるんです」



ギデオン「それは僕たちのポリシーだね。オーバーダブとかやったら曲としてはもっと面白くなるかもしれないけど、ライブでできないことはやりたくない。それだけにミックスは大事だけど(*ミックスはギデオン自身の手によって行われている)」



ふーちん「私の個人的な考えですけど、CDのほうがいいねって言われるのは嫌なんです。CDもいいけど、やっぱりライブがいいねって言われたい。そのためにもCDをいいものにして、自分たちでそれを超えていきたいんですよ」



そんな意欲も反映させたアルバム『3』。ジャケットのデザインはふーちんの手によるもので、骸骨人形も彼女の手作りだ。



ギデオン「2年前に僕、少しだけメキシコシティに行って、メキシコが大好きになりました。メキシコには日本のお盆と同じように亡くなったひとと会うことができるお祭りがある。実は去年、僕の友達が亡くなって。“The Mountainside”はその友達に捧げようと書いた曲だけど、でも悲しいだけじゃなくて楽しかったこととかいろんな思いがそこには入っている。そういう話をふーちんにしたら、この骸骨の人形ができてきた。すごく感動しました」



この骸骨たちは、アルバムのオープナーでリード曲でもある「The Bouningen」のMVで、演奏しながらほかの骸骨たちと動き出す。可愛さと不気味さ。楽しさと物哀しさ。軽妙さとヘヴィさ。しかもどこかファンキーさもある。そんな要素が絶妙に混ざり合ったアルバム『3』の象徴的なMVであり、アートワークであるなとそう思う。



アジアからメキシコまで。この世からあの世まで。これを聴けば、イメージのなかでひとっ飛び。笑って、泣いて、さあ、時空の旅を楽しもう。



(内本順一)





音楽を通じて出会った場所と人々への思いから生まれた新しい曲たち。 ふーちんとギデオンが語る、この2年半とニューアルバム『3』。 PART2/ふたりによる全曲紹介

1.「The Bouningen」


アルバム『3』のリード曲。ふーちんギド流ファンク·ナンバーだ。


ギデオン「ボウニンゲン(棒人間)という言葉がすごく好き。英語だとスティック·パーソンね。骸骨は人間の基本の形だから。それにボウニンゲンというと、それが男なのか女なのかもわからないのがいいなと。音楽的には、いままで僕とふーちんでファンクをやったことがなかったから、ファンクをやってみようということで。でもただのファンクじゃないよ。これはスーパー·ファンク。どういうことかというと、リズムが一定ではない。あちこちに飛んで展開していく。そういうのが僕は大好きだから」


ふーちん「私もそういうのが大好きなんだけど、難しいんですよ。なぜなら日本人が本来持ってないグルーブだから。だからちゃんとできてるかどうかはなんとも言えないけど、ライブでうまくいったときの盛り上がりはすごいんです、これ。毎回、違うように演奏できる曲」


ギデオン「ファンクのグルーブなんだけど、ディストーションかけたシンセの気持ち悪い音が入ったりしていて変態的でしょ。ファンキーなだけじゃない何かがある」



2.「放浪 Hourou」


ふーちん作曲によるもののひとつ。ときに急いだりしながら、でもズンズンと自分(たち)の進みたい道を楽しんで進んでいく、そんなイメージがある。


ふーちん「絶対自分にはできないけど、私はずっとジプシーとかロマのひとたちの生き方に憧れがあって。ロマのひとたちの本も読んで、“こういう生き方をしてみたい!”という気持ちが最高潮に達していたときに、この曲を作ったんです。本場のひとが聴いたら“なんだこれ?”って感じだろうけど、ロマのひとたちのもともとのリズムとか、クレズマー音楽の迫ってくる雰囲気とか、いろんなものを混ぜて自分っぽく作りました」


ギデオン「真ん中あたりはちょっとインドのクラシック音楽みたいな感じにもなるよね」


ふーちん「そう。ちょうどその頃、インドのMusafirってバンドにハマっていたので」



3.「Mykines 1」

4.「Mykines 2」


この2曲もふーちん作曲。昨年フェス出演のために行ったフェロー諸島での経験がもとになっている。「Mykines 1」はふーちんギド史上もっともハードでグランジなロック曲。「Mykines 2」は嵐が去ってほっとしたというような曲だ。


ふーちん「“Mykines 1”が早くて荒々しいのは、フェロー諸島から渡った小さな島から小型の船に乗って帰るときの様子を表わしてます。強風で海に投げ出されそうになった、その体験のまんま。途中、ギドさんのチューバでキレイな感じが表現されるのも、あのときに見た景色そのもの。“キレイだね”って言って遠くを見てると、急に船が揺れて波の飛沫がザバーーってかかったりするという。“Mykines2”のほうは、島におりたときの気持ちを表してます。“本当にこの島に来てよかったな”って、あのとき純粋に思って」



5.「Lewes」


映画を観ている感覚にもなる、エキゾチックで奥行きを持った曲だ。ギデオン作曲。


ギデオン「初めて10代の頃のことを思い出しながら作った曲です。僕はイギリスの学生時代、家から電車で1時間半くらいかけて高校まで通っていた。Lewesはその町の名前。まだ大人になりきれなかったあの頃の僕は、そこで特別な時間を過ごしてました。そのときの先生との関係や音楽との関係のことを思い出して書いた。始まりの音はそのとき乗っていた電車のドアの音。あの音がなんだか懐かしくて」


ふーちん「初めて聴いたとき、どこかの民謡っぽいなって思った。リズムも不思議な感じだったし。頭にベースがなくて、バスドラが後ろに。日本人は頭で打つのが普通だから、ヘンな感じなんですよ。ライブでやっているとトランス状態に入ったみたいになる」



6.「Suisei」


アフリカ的だったりインド的だったりと、これも国籍不明感のある曲。躍動的なリズムと浮遊感ありの音の重なりが、“ここではないどこか”を表現しているよう。


ギデオン「(長野県の)松本に“彗星倶楽部”という大好きな居酒屋があるんです。そこでライブの打ち上げをやったりして友達が飲んでる様子を、僕はときどきちょっと距離を置いて見ながら“ああ、いい時間だな。みんなが笑っててステキな夜だな”って思うときがあって。そんなところからできた曲」


ふーちん「“The Bouningen”と一緒で、これもグルーブで遊んでる。早くなったり遅くなったりするんだけど、ギドさんと私は不思議とその呼吸が合うんです。合わないひととやったら絶対うまくできない曲ですね。合うから楽しくできる。これ、北アフリカのひとたちが自由に演奏している映像を見て刺激を受けたままレコーディングした曲なんですよ。北アフリカのひとたちが鍋の蓋みたいなのをガシガシ叩いてリズムをとってて、これこそ音楽だ、これがグルーブだって思ったから、壊れた楽器をスタジオに持っていって録ったんです」



7.「Crow&Alice」


重厚なロック曲。まるでバンドサウンドだが、ふたりだけでこれをやってるのだから舌を巻く。


ギデオン「“Crow&Alice”というのは、僕が子供のときに見ていたBBCの子供番組のタイトルから付けました。コワイカワイイ(怖いけど、どこかカワイイ)アニメ番組で、曲にそういうイメージがあったから」


ふーちん「ハードロックっぽい感じもあるので、ライブで遊べる曲ですね」


ギデオン「マルコム·ヤング(AC/DC)のギターを鍵盤ハーモニカでやってるイメージかな」



8.「The Mountainside」


ギデオン作曲。ふーちんの鍵盤ハーモニカの音色が優しく心に沁み入る。


ギデオン「亡くなった友達を思って書いた曲だけど、悲しいだけじゃない」


ふーちん「ギデオンさんから“楽しいひとだった”と聞いていたので、私も哀しい感情を込めすぎないよう演奏しました」


ギデオン「雨の音はふーちんの部屋でiPhoneで録ったんだよね」



9.The Ocean


レッド·ツェッペリンの5thアルバム『聖なる館』に収録されていた曲のカヴァー。原曲を聴いたことのないひとには、ふーちんギドのオリジナルのように思うかもしれない。


ギデオン「僕はレッド·ツェッペリンの大ファンなので、これを聴く度にバンドでカヴァーしたら面白いんじゃないかって思っていて。でも僕たちがやるにはどういうアプローチがいいだろうと半年くらい考えて、できたのがこれ。アウトロを変拍子でジプシー音楽っぼくやるのが僕たちっぽいかなと」


ふーちん「あのアウトロを聴いて、“いい!”って思った。やっぱり元のと同じようにやってもしょうがないし、カヴァーするからには、ふーちんギドでやることの意味があるものにしないとダメだから」



10.The King


展開が読めず、こんな感情が込められていると決めつけることもできない曲だが、果てしなく広がっていく感覚がある。


ギデオン「ペンタトニック·スケール(五音音階)の曲が僕は好きで。ハッピーだけど、サッド。そんな気持ちを表現してます。前にモンゴルのフェスに出たとき、そこには反響する建物がなんにもなくて……」


ふーちん「本当に何もなかったよね。ビルとか高いものが何もないから、山の向こうまでそのまま届くかなって感じで」


ギデオン「その、音が広がっていくイメージをキープしながらこれを作った。あと、ドラムにディレイをかけて、途中でレゲエのダンスホール·スタイルみたいにしたりもして。ライブでやるのが少し難しいけど、やりがいがあるよね」


そんな全10曲。前作『Earthlings 地球人』はふーちん作の楽曲とギデオン作の楽曲が比較的はっきりと区別のつくものだったが、今作はどちらの作曲ということに関係なく、どれもふたりがより一体化した“ふーちんギドの楽曲”という印象がある。頭で聴くのではなく、心を開いて聴くほどに楽しめる、『3』はそんなアルバムだ。


(内本順一)

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